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フェルマーの最終定理 #1

Cubum autem in duos cubos, aut quadratoquadratum in duos quadratoquadratos, et generaliter nullam in infinitum ultra quadratum potestatem in duos eiusdem nominis fas est dividere cuius rei demonstrationem mirabilem sane detexi. Hanc marginis exiguitas non caperet.

フランスの数学者,ピエール・ド・フェルマー(Pierre de Fermat,1607-1665)は古代の数学者ディオファントスが著した『算術』(Arithmetica)の注釈本を1630年ごろに手に入れると,たちまち数学に没頭し熟読していきました.そのうちに彼はその余白に有名な48の注釈を書き込み,フェルマーの死後,長男が書き込み付きで再出版しました.最初の47個については後の数学者によってすぐに証明または反証がなされましたが,最後の1つだけが全く進展がなかったのです.それが一番上の文章です.

現代風に書き直すと,

n3 以上のとき$$x^n+y^n=z^n$$を満たす自然数 x, y, z は存在しない

となります.

この記事ではフェルマーの最終定理を実際に証明していこうとするものですが,筆者が勉強不足のため,あくまでも今の所は学習メモとして残していく予定です.また,前提知識として,中学数学と高校数学の基本的な式変形や集合,論理に関することを要請します......が,色々例を出しながら説明するので多少は大丈夫かもしれません.


さて,とにもかくにも,歴史的な部分は一旦忘れて取り組んでみましょう.ついでに n3 未満だったときも調べてみましょう.


n=0 のとき

1+1=2.


n=1 のとき

x+y=z を満たす自然数 x, y, z は余裕で存在します.意味がないですね.


n=2 のとき

x^2+y^2=z^2自然数 x, y, z は無限に存在します.(3,4,5),(5,12,13)など.
これを直角三角形に適用すれば,いわゆる三平方の定理になります.確かに長さの違う直角三角形は無数にあります.


n=3 のとき

実は証明するのが難しいので,後回しにしましょう.


n=4 のとき

なぜか n=3 のときよりこっちの方が簡単です.今回はこちらをやってみましょう.


無限降下法

\{1,2,3,\dots\} や,\{11,4,5,14\} は最小の数(それぞれ,1, 4)を持っています.これを整列性といいます.自然数は整列性を持っています

なので,「〜を満たす最小のもの」を作れたとして,「それよりも小さいもの」が存在したら,これは整列性に矛盾しますよね? このような論法を無限降下法といいます.実はこの論法もフェルマーによって開発されたものです,数学にはアマチュアという概念はないようですね.


証明

x^4+y^4=z^2 の場合を示せば十分であり,これを満たす自然数の組 (x,y,z) において z が最小となると仮定する.

そもそも x^4+y^4 が平方数(ナントカの 2 乗)にすらならなかったら,4 乗の数になるはずがありません.なので,2 乗のとき存在しないことを示せば十分なのです.

このとき (x^2, y^2, z) の最大公約数は 1 である.

もし最大公約数が 1 以外の数だったとしたら矛盾が起きます.たとえば 2 だったら,x^4+y^4=z^2 は両辺 4 で割れてしまい,もっと小さな答えが出てきてしまいます.

自然数 p, q を用いて,x^2=p^2-q^2, y^2=2pq, z=p^2+q^2 とおけ,これらの最大公約数は 1 である.

これらはとても強引に見えます.ただ,実際に代入してみると確かに成り立っていることがわかります.また,もしこれらが 1 以外の公約数を持っていることは......わかりますね?

ゆえに,同様に自然数 r, s を用いて,x=r^2-s^2, q=2rs, p=r^2+s^2 と表せる.

以上より,y^2=2pq=4prs.

p,r,s のどの 2 つをとっても互いに素なので*1,それぞれ平方数であり,p=a^2, r=b^2, s=c^2 と表せる.

どの 2 つをとっても互いに素なのもわかりますね? それぞれ平方数なのは y^2=(平方数)=2^2\times p\times r\times s で,p,r,s のどの 2 つをとっても互いに素なのだから,どれもが平方数じゃないと矛盾するということです.

p=a^2, r=b^2, s=c^2p=r^2+s^2 に代入して,a^2=b^4+c^4 を得るが,a\leq p\leq p^2\lt z より z の最小性に矛盾.

よって,x^4+y^4=z^2 を満たす自然数の組は存在しない.ゆえに,x^4+y^4=z^4 を満たす自然数の組も存在しない.\blacksquare


ごちゃごちゃやりましたが,色々式変形してやるとそれより小さい解が構成できるので矛盾する,という流れが伝わったでしょうか.
次に n=3 の場合......ではなく,もう少し抽象的なことを学習した上でエレガントに証明を与えてみましょう.(高校1年程度の数学でも示せないことはないですが,めちゃめちゃ長くなる上にあまり本質的ではない式変形ばかりやるので,ここでは扱いません)

*1:\mathrm{gcd}(p,r,s)=1 とは限らない.